1. まず知っておくこと
ライブテロップは、話した言葉を緑一色の画面の上に字幕として出すだけの道具です。配信そのものは行いません。配信ソフト OBS Studio(無料)がこの緑画面を取り込み、緑を透明にして(クロマキー)カメラ映像の上に字幕を重ね、OBSが配信先へ送ります。
つまり「どこへ配信できるか」はOBS側で決まります。OBSから送れる先なら、インスタライブでもYouTube LiveでもZoomでも使えます。
必要なもの
- パソコン(Windows / Mac)と、Google Chrome または Microsoft Edge。スマホ単体では使えません。
- OBS Studio(obsproject.com・無料)
- マイク。OBSとChromeの両方が同じマイクを使います。
OBS側の共通設定(配信先を問わず同じ)
- ライブテロップを開き「▶ 認識を開始」。マイクの使用を許可します。
- OBSの「ソース」で「ウィンドウキャプチャ」を追加し、ライブテロップのブラウザ窓を選びます。
- そのソースを右クリック →「フィルタ」→「クロマキー」を追加。色の種類は「緑」。
- ソース一覧で、字幕のソースをカメラ映像より上に置きます。
- マウスを動かさずにいると、ライブテロップのボタン類は自動で消えます。
ウィンドウキャプチャで真っ黒になるとき:OBSの「ウィンドウキャプチャ」のプロパティで、キャプチャ方法を「Windows 10 (1903以降)」に変えると映ることが多いです。
2. インスタライブで使う 縦画面
スマホのInstagramアプリからではなく、パソコンのブラウザ版Instagramにある「ライブプロデューサー」を使います。OBSの映像をInstagramへ送る仕組みです。
条件
- プロアカウント(ビジネスまたはクリエイター)であること。個人アカウントではライブプロデューサーが出ません。設定から無料で切り替えられます。
- インスタライブは縦長(9:16)です。OBSの画面も縦長にします。
手順
- OBSの「設定」→「映像」で、基準解像度と出力解像度を
1080x1920にします(縦長)。 - ライブテロップのブラウザ窓も縦長に細くしておくと、字幕の折り返しが配信画面と揃います。
- パソコンで instagram.com にログイン →「作成」→「ライブ動画」を選ぶと、ライブプロデューサーが開きます。
- タイトルと公開範囲を決めると、サーバーURLとストリームキーが表示されます。
- OBSの「設定」→「配信」でサービスを「カスタム」にし、サーバーURLとストリームキーを貼り付けます。
- OBSで「配信開始」を押します。Instagram側のプレビューに映像が出るまで少し待ちます。
- プレビューを確認したら、Instagram側で「ライブ動画を開始」を押します。ここで初めてフォロワーに公開されます。
- 終わるときはInstagram側で終了してから、OBSの「配信終了」を押します。
ストリームキーは他人に見せない:キーを知っている人は、あなたのアカウントでライブ配信できてしまいます。画面共有やスクリーンショットに写り込まないよう注意してください。キーは配信のたびに新しく発行されます。
コメントの確認:視聴者のコメントはライブプロデューサーの画面に表示されます。配信中はブラウザのInstagramを見える位置に置いておくと便利です。
3. YouTube Liveで使う 横画面
OBSは最初からYouTubeに対応しています。ライブプロデューサーのような別画面は不要です。
条件
- YouTubeでライブ配信を有効にしておく必要があります。初めて有効にするときは、使えるようになるまで24時間ほどかかります。配信当日に初めて設定するのは避けてください。
- 電話番号によるチャンネル確認が必要です。
手順
- OBSの「設定」→「映像」で解像度を
1920x1080(横長)にします。 - OBSの「設定」→「配信」でサービスを「YouTube - RTMPS」にし、「アカウント接続」でGoogleアカウントにログインします。
- OBSの「配信の管理」でタイトル・公開範囲を入力し、「配信開始」を押します。
- YouTube Studioのライブ管理画面で映像を確認し、公開します。
アカウント接続を使わず、YouTube Studioで表示されるストリームキーを「カスタム」設定に貼り付ける方法でも配信できます。インスタライブと同じ流れです。
4. Zoom・Google Meetで使う オンライン講座向け
ZoomやGoogle Meetには「配信」の仕組みがありません。代わりに、OBSの映像をカメラとしてZoomに渡します。受講者には、字幕付きのカメラ映像として見えます。
手順
- OBSで字幕とカメラのソースを組んだら、「配信開始」ではなく「仮想カメラ開始」を押します。
- Zoomの「ビデオ」設定でカメラを「OBS Virtual Camera」に切り替えます。Google Meetも同様にカメラの選択で選びます。
- マイクはZoom側でいつものマイクを選びます(音声はOBSを通しません)。
自分の画面で字幕が裏返って見えるとき:Zoomの「マイビデオをミラーリング」がオンになっています。自分にだけ反転して見える設定で、受講者には正しい向きで届いています。気になる場合はミラーリングをオフにしてください。
5. 配信しない使い方(展示・対面の接客)
OBSを使わず、ライブテロップの画面をそのままモニターやプロジェクターに映す使い方もできます。工房の見学や実演販売で、話している内容を横のモニターに字幕で出す、といった用途です。
- ライブテロップの「⚙ 設定」→「背景色(クロマキー用)」で「黒(プレビュー用)」を選びます。緑のままだと目に刺さります。
- ブラウザを全画面(F11)にして、外部モニターに表示します。
- 「文字の見た目」で大きさを上げ、離れた位置からも読める大きさにします。
この使い方なら、ノートパソコン1台とマイクだけで済みます。配信の準備を試す前の練習にも向いています。
6. よくあるつまずき
| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 「このブラウザでは音声認識を使えません」と出る | Safari・Firefox・スマホ・OBS内蔵ブラウザでは動きません。パソコンのChromeかEdgeで開いてください。 |
| 字幕は出るのに、OBSに映らない | ウィンドウキャプチャの対象が別の窓になっているか、キャプチャ方法の相性です。プロパティでキャプチャ方法を変えてみてください。 |
| 字幕の縁が緑っぽく残る | クロマキーのフィルタで「類似性」「滑らかさ」を少し上げます。字幕の縁取り色を黒にしておくと目立ちにくくなります。 |
| 認識が途中で止まる | Chromeの仕様で、無音が続くと止まることがあります。ライブテロップは自動で再開しますが、止まったままなら「▶ 認識を開始」を押し直してください。 |
| 専門用語が毎回誤変換される | 「⚙ 設定」→「置き換え辞書」に 小場=>コバ のように登録すると、確定した字幕に自動で反映されます。 |
| インスタライブでライブプロデューサーが出ない | 個人アカウントの可能性があります。プロアカウントに切り替えてから、パソコンのブラウザで開き直してください。 |
| 音声が二重に聞こえる | OBSのマイクとZoomのマイクを両方有効にしている状態です。仮想カメラで使うときはOBS側の音声をミュートにします。 |
7. 出典
手順は次の資料を参考にしています。各サービスの画面や条件は変わることがあるため、うまくいかないときは最新の公式ヘルプも確認してください。